大東会館 過去の活動の記録

大東会館のホームページ上において行つてゐた案内・告知を掲載

武士道研究会

発表「歴史的ものの見方、考へ方」
 現代人は、刀を持たぬ侍、いや「見識」といった懐刀を抱く侍と言へよう。如何にこの世の中を捉へ、見抜き、理想を実現してゆくか、己の見識次第で、人生を勝利に導く事もできれば、負けを取る事にもなる。従って、その人の人生は、如何によく切れる、曇り無き「見識」といふ懐刀を鍛へ、高めるかに掛かってゐるとも言へよう。
 社会は、流動的、変動的で、千変万化する。まさに万物は流転してゐる。だからこそ、何時の世も、人は己の立つべき居所を求めて已まぬのであらう。逆巻く怒涛の根底にあって、動いて動かざるところのもの、己自身の不動の尺度を。我に立つべき居所を与へよと叫んだのも、実に遠く古代ギリシアの哲人ではなかったか。
 その意味でも、優れた歴史観、人生観は、古今東西を問はず、厳しい時代を生き抜かむとする人々の、人生を切り開く懐刀と言へよう。
 そこで、今回は、「歴史的ものの見方、考へ方」を取り上げ、出席者のそれぞれが、自らの歴史観を深める参考として戴ければ幸ひである。
発表「刀剣史に於ける元帥刀」
 元帥刀は、明治になって製作された刀剣であり、昭和二十年の終戦まで、元帥府に列せられた方々三十名のみに佩用が許された最も名誉ある刀剣、謂はば節刀と言ふ事が出来よう。この元帥刀は、平安時代中期の「毛抜き太刀」や「小烏丸の太刀」、また中世の「衛府の太刀」等を参考にして製作されたものと考へられる。「毛抜き太刀」は、俵藤太が平将門を討った時の太刀と言はれてをり、伊勢の神宮徴古館に現存する。また、「小烏丸の太刀」は、平家が藤原純友を討った折の太刀と伝へられ、現在、御物となってゐる。つまり、元帥刀とは、そのやうな由来を持つ古代・中世の太刀の、近代に於ける節刀としての復活と考へる事はできまいか。

■輪読 佐久良東雄先生「遺書」
■日時 九月八日(月)午後六時半より
■会場 大東会館 港区北青山三の三の二七
■幹事 藤本隆之/福永武/細見祐介/大山晋吾
■会費 千円(懇親会費、但し学生は無料)