武士道研究会 第十一回例会ご案内
明治天皇と「明治維新の宸翰」 大山晋吾氏
武士道の本義とは、皇室を護持し申し上げる事にありませう。佐久良東雄先生がご子息に残された遺書には、侍とは侍(さぶら)ふ者、即ち天子様に侍ひ、お守り申し上げる者と説かれてゐます。
では、その皇室とは如何なる御存在でありませうか。今回は、年頭にあたり、「五箇條の御誓文」と共に明治天皇御自ら御示しになられた「明治維新の宸翰」を通して、御歳十七歳の陛下の御志を拝し、また御歴代の御精神をも拝して参りたく存じます。
因みに、「今般、朝政一新ノ時ニ膺リ、天下億兆一人モ其處ヲ得サル時ハ皆朕カ罪ナレハ、今日ノ事、朕身骨ヲ勞シ心志ヲ苦シメ艱難ノ先ニ立、古列祖ノ盡サセ給ヒシ蹤ヲ履ミ治蹟ヲ勤メテコソ、始テ天職ヲ奉シテ億兆ノ君タル所ニ背カサルヘシ」とは、右御宸翰の一節ですが、ここに若き明治陛下は既に民の御父母たる御自覚を御備へになられ、国民の一人だに其の處を得ざる時はみな朕が罪との、尊くも有難い大御心を拝する事ができます。
「忠魂は九段の宮に帰り、母のみ胸に生く」 大山晋吾氏
「靖國の 宮にみたまは 鎮まるも をりをりかへれ 母の夢路に」とは、大江一二三少佐が、立山英夫中尉の戦死を悼んで母堂に宛てた弔電である。部下の母堂を思ふ見事な真心の歌と言へよう。これを、子息で歴史学者の大江志乃夫氏は、靖國は戦死した方の魂を母親にさへ、をりをりにしか帰すを許さない旨の解釈をしてゐる。父君の心を、歌心を解さぬ人と言はざるを得ない。忠魂は九段の宮に帰られる。がまた、母堂の心の中にも生きてをられる。
この度は、幾柱かの戦歿者の御事績と御遺族の御姿をお伝へし、忠魂が九段の宮に帰り、また母堂のみ胸に、御遺族の心の中に生きてをられる事を発表させて戴きたい。
■日 時 正月27日(火)午後6時半より
■会 場 大東会館 港区北青山三の三の二七
■幹 事 藤本隆之/福永武/細見祐介/大山晋吾
■輪 読 「五箇條の御誓文」「明治維新の宸翰」
■会 費 千円(懇親会費、但し学生は無料)
平成20年 武士道研究会の記録はこちらをご参照ください