大東会館 過去の活動の記録

大東会館のホームページ上において行つてゐた案内・告知を掲載

武士道研究会 第十八回例会【靖國神社参拝並びに遊就館拝観】の御案内

遊就館拝観案内(1)「忠魂九段の宮に帰る」 幹事・大山晋吾
遊就館には三十年かけて妻のもとに届いた「奇跡の椰子の実」が展示されてゐる。
昭和十九年ルソン島で戦った山之内辰四郎軍属が故郷を偲び、砂浜に落ちてゐた椰子の実に「昭和十九年七月吉日」と記し、かの島から流された。その後、山之内さんは翌年同地で戦死されたが、流された椰子の実は、昭和五十年島根県大社町の港に流れ着いた。そして、その流れ着いた大社町こそは、実に戦死された山之内さんの生まれ故郷であった。一年を経てこの椰子の実は、遺族未亡人のもとに届けられた。そして、涙の対面の後に、この椰子の実は、未亡人より靖國神社遊就館に奉納された。
戦友の方々がよく筆者に語って下さった。この椰子の実は、単なる椰子の実ではない。戦死した山之内君の魂が、三十年かけてやっと恋しい祖国の土を踏まれたのだ、と。忠魂九段の宮に帰るといふ言葉があるが、まさにその象徴がこの椰子の実であらう。
また、これが発見されたのが不思議な事に七月十三日、お盆の入りであり、靖國神社のみたま祭り前夜祭の日にあたり、深い御神慮の程を感ぜずにはゐられない。
また、或る戦友が南方で壕を掘り、戦ってゐたといふ。そこに敵機が来襲し、戦友は壕に退避したところ爆弾が投下され、生き埋めになった。戦友は仮死状態となり、うなされながら夢を見てゐたと言ふ。太平洋の只中をもがきながら泳いでゐる夢であった。苦し紛れにどれだけ泳いだであらうか、ふと見上げると、山が見えた。富士山である。その戦友はこれで日本に帰って来れたと思った。そして、また必死に泳ぎ続けた。すると今度は大きな鳥居が見えて来た。靖國神社の大鳥居である。戦友はこれでやっと自分も靖國神社に祀られるのかと思った瞬間、掘り起こされ、蘇生したといふ。これ所謂、臨死体験である。まさに戦死せんとする軍人の魂がどこに向かってをられるのか、ここに明らかとならう。
 
遊就館拝観案内(2)「鎮魂の誠ー捧げられた花嫁人形」 案内人・大山晋吾
大東亜戦争で戦歿された方々は、その殆どが若くして、妻を娶る事なく戦死してをられる。遺族の方々は、わが子の為、わが兄弟の為にと、せめてもの願ひを込めて花嫁人形を靖國神社に奉納される。その嚆矢が、北海道八雲町の遺族佐藤ナミさんから亡き御子息武一さんに捧げられた花嫁人形の「桜子さん」である。今、遊就館に展示されてゐるこの花嫁人形の傍らには、母堂ナミさんの次のやうなお手紙が添へられてゐる。
「武一よ、貴男は本当に偉かった。二十三才の若さで家を出て征く時、今度逢う時は靖國神社へ来て下さいと雄々しく笑って征った貴男だった。どんなにきびしい苦しい戦いであったろうか。沖縄の激戦で逝ってしまった貴男…。年老いたこの母には今も二十三才のまゝの貴男の面影しかありません。日本男子と産れ、妻も娶らず逝ってしまった貴男を想うと、涙新たに胸がつまります。今日こゝに日本一美しい花嫁の桜子さんを貴男に捧げます。私も八十四才になりましたので、元気で居りましたなら又逢いにきますよ。どうか安らかに眠って下さい。有がとう」と。
戦歿者のみたまは靖國の宮に帰り鎮まり、御遺族はそのおみたまに会ひにみえる。同じ梢に咲いて会はうと誓ひ合はれた戦友にとり、また御身内への断ち難き思ひを秘められた御遺族にとり、靖國神社は御祭神との涙の対面、不二の再会の場なのである。


遊就館拝観案内(3)「留魂の至情―出撃三十分前の絶筆」 案内人・大山晋吾
「清がすがし花の盛りにさきがけて玉と砕けん丈夫我れは」。これは、特攻隊員・緒方襄命が出撃三十分前に手帳に記された辞世(遊就館展示)である。緒方襄命は、ロケット特攻機「桜花」を擁する神雷部隊桜花隊の隊員として、昭和二十年三月二十一日鹿屋基地を出撃、九州南方洋上にて戦死された。
右ご遺品の手帳には、もう一首「死するともなほ死するとも吾が魂よ永久にとどまり御国まもらせ」と記されてゐる。出撃三十分前、嘘も偽りも無い、これがその時そのままのお気持ちであらう。自らの肉体は死滅しても、どうかわが魂よ、この祖国日本に留まり、この国を護らせ給へと、天にでも祈るやうな留魂の絶筆である。
遊就館には神雷部隊の方々が戦友の出撃を見送る時に用いた「非理法権天」の幟旗が展示されてゐる。これは七生報国で知られる楠木正成公の旗印であるが、その幟旗の前に立てば、六十数年前に出撃された方々の姿が脳裏に髣髴として浮かび、胸に迫るものがある。
第62振武隊の富澤健児命は「俺がやる貴様も来い」と書き残して特攻出撃された。その揮毫が遊就館に展示されてゐるが、当時の方々は後に続く者あるを信じて次から次へと出撃して行かれたのであった。
愛する家族のため、祖国日本を護るために莞爾として出撃された方々。その熱きお気持ちを、遊就館拝観を通して受け止めて戴きたい。


※このたびの昇殿参拝は、靖國神社の夕御饌祭と言ひ、神様に夕刻の御饌を捧げるお祭への参列となります。
遊就館の御案内は幹事の大山が行なひます。
終了後は、近隣にて簡単な暑気払ひを行ひます。お気軽に御参加下さい。


■日 時 八月八日(土)午後二時半集合
■集合場所 靖國神社遊就館玄関前
遊就館拝観案内/大山晋吾
■費用 千円(参拝玉串料・拝観料)
■幹 事 藤本隆之/福永武/細見祐介/大山晋吾
平成20年 武士道研究会の記録はこちらをご参照ください