大東会館 過去の活動の記録

大東会館のホームページ上において行つてゐた案内・告知を掲載

武士道研究会第二十回例会の御案内

国士・湯地丈雄の憂国の精神と元寇紀念碑建立 発表者・大山晋吾
 現在、福岡市の東公園には、「わが身をもって国難にかはらむ」と伊勢神宮に敵国降伏を祈願された亀山上皇銅像が聳え立つ。これは、明治十九年八月清国北洋艦隊が長崎に寄港した折の上陸水兵の暴行事件を検分した、福岡警察署長湯地丈雄が建立を提唱、十数年の年月を掛けて義捐金を募り、完成に導いたものである。
湯地は肥後・熊本の産で、熱血純情の人であり、清国、露国等大国の脅威を国民に訴へ、同胞の胸に国防意識を呼び覚ます為に、元寇の歴史を紐解き、元寇紀念碑を建設しようと提唱した。
時に明治二十三年、四十歳の湯地は妻子を家郷に残し、決然職を辞して、清貧洗ふが如き生活の中、紀念碑建設運動に挺身した。
「四百余州をこぞる 十万余騎の敵 国難こゝに見る 弘安四年夏の頃」ではじまる有名な軍歌「元寇」は、明治二十五年に制作されたものであるが、これは、湯地が建碑運動の中で、募集した軍歌の入選作であった。
また、元寇研究の膨大な資料集であるかの『伏敵篇』編纂も、湯地の紀念碑建設運動との関連で行はれたものである。
湯地は、建碑の義捐金を集めるべく、元寇の幻灯画を作り、幻灯機を携へて、全国講演の行脚を行ってゐる。また、昼間の講演に際しては、協力者の画家矢田一嘯の画いた「元寇大油絵」十四面を携へて、護国の念一筋に、国防の緊要を説いて回ってゐる。その講演数たるや、確認されてゐるものだけでも、六百二十四回、百二十六万二千七十七名の聴衆に対して行はれてゐる。
かくして、この亀山上皇の碑(銅像)は、明治三十七年十一月完成するが、湯地は、自らの名を紀念碑中に記す事を心よしとせず、ひそかにわが名と労苦を共にした家族の名を石に刻んで、この碑の下に埋づめたといふ。
今回は、この国士・湯地丈雄の憂国の精神と元寇紀念碑建設運動等について眺めてみたい。


■日時 12月22日(金)午後7時より
■会 場 大東会館 港区北青山3−3−27
■輪読 韓退子(韓愈)筆「伯夷ノ頌」
■会費 千円(但し懇親会費、学生は無料)
■幹事 藤本隆之/福永武/細見祐介/大山晋吾


次回予告
1月15日(金)午後7時より 新年会及び「元寇日蓮聖人」(発表・大山)
1月28日(木)午後7時より 素行祭斎行並びに発表「山鹿素行に於ける日本学と士道の精神」

平成20年 武士道研究会の記録はこちらをご参照ください