大東会館 過去の活動の記録

大東会館のホームページ上において行つてゐた案内・告知を掲載

武士道研究会第二十一回例会・新年会の御案内

特立独行、信念の僧・日蓮の精神と蒙古襲来について 発表者・大山晋吾
キリスト教信者の内村鑑三は、その著『代表的日本人』の中で、大西郷以下五名の偉人を取り上げて顕彰してゐるが、その五番目に掲げたのが日蓮聖人、その人である。キリスト教信徒が天下五人の一人として数へる程の僧・日蓮とは、一体如何なる人であったか。
伊勢市の倭町には、日蓮聖人が「三大誓願」を立て、百日間、水垢離をとって神宮に詣でたとする井戸が大切に保存されてゐる。そこには「我日本の柱とならむ、我日本の眼目とならむ、我日本の大船とならむ」との右誓願の碑が建立されてゐる。
一般に、日蓮が「南無妙法蓮華経」のお題目を創唱し、立宗したのは、故郷安房清澄寺に登り、日輪を拝した折りとされてゐるが、日蓮天照皇大神宮への信仰から推して、彼の三大誓願や立宗、御題目の創唱も、帰郷以前の伊勢参宮に於いてとする説に筆者は強く心ひかれる。日蓮天照大神を初め、本邦の神々を深く信仰してゐた。その証拠に日蓮の御題目には、天照大神等神々の御名が記されてゐるのである。
彼は敬神の士であると共に特立独行、信念の人であった。道行く人から、罵倒され石つぶてを受けながらも、自らが最高最勝と信ずる法華経を人々に説いて已まなかった。如何なる艱難がわが身に降りかからうとも、危険が迫らうともその信念を曲げることは決して無かった。
また、彼は安房小湊の貧しい漁村に生まれたが故に、深い愛民の心を宿してゐた。わが国に飢饉・天災が絶えず、民衆が苦しむのも、人々が法華経を重んぜず、他宗邪教を信ずるからだと主張する。そして、このままでは内乱や外国の侵略を受けるであらうと『立正安国論』に、蒙古の襲来まで予言してゐる。それが為に日蓮は、他宗より恨みを買って、焼き討ちに遭ひ、果ては伊豆に流されてゐるが、なほ一貫して屈することは無かった。
その深い敬神の念と民思ふ心は、いつしか憂国の至情となり、遂には蒙古の襲来を前にして他宗と対決し、一旦は佐渡に流されるが、曲折を経て、執権北条時宗の心を動かすに至るのである。


■日時 正月15日(金)午後7時より
■会 場 大東会館 港区北青山3−3−27
■輪読 韓退子(韓愈)筆「伯夷ノ頌」
■会費 千円(但し、新年会の懇親費、学生は無料)
■幹事 藤本隆之/福永武/細見祐介/大山晋吾


次回予告
正月28日(木)午後6時半より素行祭
「神ながらの道―中朝事実<山鹿素行著>の底流を流れる神ながらの道とその心」島本昌彦先生
「矢田一嘯と佐野前励―日蓮の巨大銅像建設をめぐって」大山晋吾

2月12日(金)午後7時より「神武天皇の御実在とその紀元について」大山晋吾